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本日の赤面
 行きつけのバーや飲み屋は持たないが、なじみの「店」ならひとつだけある。
 あまり一般的な店とは言えないが、神戸にある文房具店、それも万年筆の専門店である。ここにはちょっとした喫茶コーナーが設えてあって、万年筆の試し書きをしながらオリジナルブレンドの珈琲が楽しめる。店主氏の言によると「現代の茶室」をイメージしたそうな。時折ここに立ち寄っては、買いもしない万年筆の(いや、買うよ、買うよ、たまぁ〜には)試し書きをしたり珈琲を飲んだりして過ごす。

 試し書きというのは、なにも万年筆だけに限るのではなくて、色とりどりのインクを試すこともよくある。インクの色が変わると随分気分も変わって楽しいものだ。最近は微妙な色合いにブレンドした、店固有のオリジナルインクというものもあって、瓶を眺めてるだけでも目の保養になる。といっても、結局買うのは使い慣れたいつものインクなのだけれど。

 その日もそういったインクを試し書きさせてもらっていた。万年筆の場合、最も快適に書けるのは、書こうとする紙の下に何枚か束になっている状態だが、この店でも試筆紙という試し書き専用の紙を出してくれる。そこに思いつくまま「太いペン細いペン」だの「てんてんてれつく」だの「人参だもの、みつを」だのと、脳髄をまるっきり経由しない文言をグレたイトミミズのような字で垂れ流していた。せっかくの贅沢な試筆紙に相応しくないこと山の如しだが、それはまぁいいじゃない。そのうちふとショーケースを見たくなって、試筆紙をそのままに席を立った。

 ちょうどその時、1人の客が入ってきた。普段万年筆の店に足を踏み入れることなどないらしい、年配の男性である。手持ちの古い万年筆が使えるようになるか、メンテナンスしてくれという。店主氏がその万年筆を吟味する間、物珍しげに店内を見回した彼は、その場にいる僕を含めた他の客を指してか、
「いやー、皆さん(万年筆が)お好きなんでしょうなぁ」
 と穏やかな笑顔で感心したように言った。そのまま机の上に視線を落としつつ、
「わたしら、字がヘタやから恥ずかしぃて・・・」
 と謙虚に言う彼のつぶやきが途中で消え、笑顔は凍りついた。
 
 ・・・その視線の先にはワタシの書いたイトミミズが。

 わー!見るなよ見るなよオッサン!いや見ないでくださいお願いだから!ほほほほかの人はねもももうちょっとマシな字を書くのですよ、いやホンマに!

 子供の頃、月謝をドブに捨てるようなものだからと、親に懇願され書道教室を辞したが、マジメに通わなかったツケが今頃めぐってこようとは。

 あーもう、恥ずかしいったりゃありゃしない。あーもう。

未分類 | 12:01:03

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