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闖入者たち
 自宅のベランダに、毎晩何かが飛び込んでくる。節電すべく不用心に窓を開け放して寝ているが、そよ風も入ってくるついでに色々とややこしいものも入ってくる。そのほとんどが道を誤った(?)セミだが、今夜は大きなトンボが迷い込んできた。

 彼らはみな、入って来るくせに出てはいけないらしく、バタバタバタと暴れる。
あー、今夜も来たなぁ、やかましなーと思っていると、心の声が届いたかふと静かになる。そしてこちらがうとうととしかけると突如、

「あー!せやせやせや!」

 という感じで、何を思い出したのかまたジジジジジバルバルバルバルッと騒ぎ始める。ひと皆寝静まった夜、これはけっこうびっくりする。目も覚める。ぜひやめていただきたいが、相手はハナシのわからぬ虫である。ムシもできない。非常に迷惑である。

 ごくまれに静かなやつが飛び込んでくることもある。蛾だ。頭を向けて寝ているベランダの網戸に「・・・・はたっ」と何かがとまる。あ、やだなぁ、また虫かなぁと思ってしばらく様子を見るが、一向に騒ぎ出さない。それはそれで気になるので近寄って見てみると、これが大きな蛾である。

 この蛾という奴は存外に気が長い。草木であれば動かぬも道理だが、蛾には翅も脚もある。飲み食いせず、用も足さず、読書するでなく、話し相手もいないのに、蛾は何か滑稽なほど真剣にそこに居続ける。

 何を待っているのか。
 何かを待っているのか。

 静かな奴だからそのまま寝てしまえばいいのだが、蛾というものは翅に「鱗粉」を持っている。風に乗ってこの鱗粉がはらはらと顔に降りかかるのを想像すると、どうもおちおち寝てなぞいられない。
 そこで、お引き取り願うべく網戸をチョッと揺さぶってみるが、そんなものはどこ吹く風、いや、今ここに風は吹いているのだが、全く意に介する様子がない。あまり強く網戸を揺さぶるのも、それこそホコリやら鱗粉やらが部屋に入ってきそうで不愉快だ。
 さてどうしたものかと、蛾の隣に座って思案するが、敵はこちらの5000倍くらいは気が長そうである。根くらべでは勝てそうにない。

 何を待っているのか。
 何かを待っているのか。

 鱗粉も困るが寝不足はもっと困る。ここは是非にもお引き取り願いたい。安住の地を追うようでいささか気は引けるけれども。ごく弱い力で蛾のウラ側を、

 ちん

 と弾いてやった。
 
 蛾は、すいっと漆黒の中へ吸い込まれるようにして、消えた。


未分類 | 02:18:19

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