スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


スポンサー広告 | --:--:--
謎のメモ
 手帳やノートブックに何ごとかを書きつけている人を見ると、非常に興味をひかれる。
 もともと文房具の類が好きだというのも手伝って、何とはなしに好感を持ってしまう。
 そんな風に「書く人」に注意を払っていると、実際、色んな人がいるものだ。

 先日、東京は山手線での出来事。
 やや混み合った車内で僕はドア近くに立ち、窓の外を見るともなしに眺めていた。ふと、目の前に座っていた中年男性が、思い出したように財布から二つ折りにした小さな紙片を取りだした。8×5センチほどの紙片には罫線はなく、おそらく何かのチラシを裁断したものだろう、それは文字通りの「紙っきれ」であった。
 男性はこの紙っきれを財布と重ねるようにして左手で持ち、ボールペンを取り出すと紙片の左端ほぼ中央に一カ所だけ「ちみっ」と、何か印のようなものを付けた。それは文字というにはあまりにも小さく、大きさでいうなら1ミリないしは2ミリ弱のものだった。
 彼はそのまま紙片を元通りに二つ折りにし、大事そうに財布にしまいこんだと思うと、同じような、今度は先ほどのものよりやや小振りの紙片を取りだし、これもまた同じように「ちみっっ」と一カ所だけ、今度は紙のほぼ中央に印を入れた。
 僕は非常に興味を引かれ、失礼だとは思うが、何とか記した内容を読み取ろうと試みたが、それは無駄だった。印(文字?)があまりにも小さ過ぎるのだ。おそらく彼の両隣に座っている人でさえ、判読するのは困難であったろう。
 彼は同じような行為をそのまま3~4回続け、最後にやや長めの、これは明らかに文章の体裁を持つものを記した。内容は相変わらず分からないが、揺れる電車の中で、それはまるでワープロで打ったかのような整然たる文字列だった。罫線も何もないチラシの切れっ端によどみなく記していく所を見ると、相当手慣れた作業に違いない。
 やがて彼は、元通り紙片を財布に収め、それをスーツの内ポケットに仕舞い込んで、何事もなかったかのように視線を前に向けた。

 僕は気になって仕方がなかった。が、見も知らぬ他人に「何を書いていたのですか?」と聞くのも憚られる。不審に思われることこの上ない。
 列車が新宿に着いた。余程もうしばらく乗っていようかとも思ったが、そうもいかない。後ろ髪を抜けそうなほど引かれる思いで列車を降り、振り向く。
 さっきと寸分違わぬ姿勢で彼が座っている。やがて扉が閉まると列車は夕闇の中へと消えていった。

 あれは一体何だったのだろう?彼は驚くべき技術(と呼んでいいと思う)で何を書いていたのだろう?はじめの2~3枚に記されたものにはどんな意味があったのだろう?それはチェックリストですらなかったのだ。僕は列車を降りてしまってから、大いに悔やんだ。たとえ不審に思われようが、やはり僕は尋ねるべきであったのだ。「随分細かいですね。何を書いているのですか?」と。

 彼の文字の大きさを再現してみたが、0.3ミリという極細のペンを使っても「漢字」を書くのは難しい。数字か、仮名か、記号か。最後の一枚について、最も近い体裁を備えているものは、披露宴会場などで各席に置いてあるコース料理のメニューである。あれの極小版を想像してもらうと近いかも知れない。ふと何かの「計算」をしていたのではないか、とも思ったが、やはりどうも違う。それにはじめの2~3枚については、全く想像の埒外だ。さっぱりわからない。謎は深まるばかりである。

 この件に関して仮説のある方、あるいはもしかして「それ、僕や」という方がいたら、ぜひとも掲示板にでも書き込んでいただきたい。いまだに気になって気になって--------------夜はぐうぐう寝ている。



未分類 | 01:08:03 | トラックバック(0) | コメント(0)
コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

FC2Ad

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。