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茶レンジャー
 先日の奇妙な体験。

 その日、所用で大阪に向かった僕は、ある家族連れと同じ電車に乗り合わせた。体格
のいい健康そうな妻と、これもまた丸々と太った元気そうな息子を連れた、やせて胃の
悪そうな男性、という組み合わせだった。

 駅を出て書店に入った僕は、店内でもう一度この男性と出会ったのだが、周りに妻子
の姿がない。ここまでは特に変わったことはない。よくある話だ。妻子とは別行動なの
だろう。なぜ彼のことをよく覚えていたかというと、彼が茶色いトレーナーと茶色い綿
パンという、上から下まで「まっ茶っ茶」の格好をしていたからである。あらゆるファ
ッションが渦巻く大阪梅田界隈においても、ここまで茶色いヤツぁそうはいない。僕は
心の中で彼を「茶レンジャー」と命名した。「茶レンジャー」は面白くもなさそうな顔
で店内を散策していたが、久しぶりの休日を彼なりに楽しんでいる風にも見えた。 

 僕が用を済ませ書店を出ようとすると、入れ違いにこの「茶レンジャー」が入ってきた。うん?・・・ついさっきそこで見かけたはずだが・・・。
 もちろん、電話を掛けに出ていて今しがた戻ってきたとか、妙なタイミングではあるが、そういうことはないではない。しかし、店内で彼を目撃した直後のことである。僕
の先回りをするにも時間的に無理があるし、そもそもそんなことをする意味がない。
 釈然としない思いで地下鉄に向かおうとした僕は我が目を疑った。目の前を若い女性
を連れた「茶レンジャー」が歩いているではないか!

 こんなことはありえない。彼とすれ違ったのはたった今のことなのだ。だいいち妻子
はどうした、妻子は。 驚いた僕はすぐさま書店にとって返した。店を出るときすれ違
った「茶レンジャー」をみつけようと思ったのだ。だって気になるではないか。

 だが、再び彼を発見することはできなかった。
 これはどういうことだろう?単なる見間違いか?勿論そう考えるのが最も妥当だろう。しかしあんなに「茶色い」ヤツがそんなにいるものだろうか?ぼくは割に他人の服装が
気になるタチである。だからこそ、彼の人相風体までが電車内で印象づけられたのだ。
 4人ともが別人ということはまずありえない。だとしたら結論は一つしかない。

 忍者だ。

 徳川政権の崩壊と共に歴史の闇に葬られたはずの忍者の末裔が、この大都会に生き残っていたのだ。細身で素早い身のこなし、周囲にとけ込む(浮いてたけど)茶色いコチューム、そして忘れちゃいけない、分身の術・・・。少年の頃、忍者に憧れたのは僕だけではないだろう。憧れの忍者とはイメージがちぃっとばかし違ってはいたが。

 現代にも忍者がいることに大いに満足した僕は、その日いつもよりも早く床に就いた。忍者の夢を見るために。


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